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体験談・コラム

既卒者が既卒者について語る

既卒者が既卒者について語る


既卒者カフェを運営する山口と申します。
※この記事は2012年7月24日に書かれたものです。
 既卒就職の状況は日々変化しています。現状とそぐわない表現があるかもしれせんがご了承ください。

既卒者カフェとは、大学等、高等教育機関を卒業して就職活動などを継続中の若者(以後、既卒者と呼ぶ)が集まって語り合える場所です。特に常設の場所はなく、現在は首都圏のファミリーレストランや一軒家で不定期開催しています。孤立しがちな既卒者にとっての居場所や情報交換の場になれば、と思い運営しています。
大学等、高等教育機関を就職しないままに卒業していった若者たちは毎年約10万人を超えると言います。決して少なくない数が毎年既卒者として出ているにも関わらず、既卒者の現状はあまり知られていません。また1人で活動し、気分も沈みがちになったり、中々情報交換ができていない人がおそらく沢山います。
そこで、同じく既卒者になった私が、5月18日から始めた既卒者カフェを通じて出会った人たちについて言及しながら、既卒者の人にとって何かプラスになるようなメッセージを伝えたいと思います。

これまでに出会った既卒者のみなさん

私が実際に既卒者カフェを通じて会った人たちは本当に多種多様でした。
≪既卒者≫という一つの現象として捉えることは難しいため、箇条書きで事例を挙げて話を進めていきます。

・「新卒一括採用」や「就活」のバカバカしさから、働く意欲が湧かないという人。
・学生時代に公務員試験に落ち、既卒として就職活動を行いながら再受験を狙う人。
・全く働く意欲が湧かず、アルバイトはおろか奨学金の返済期限も知らなかった人。
・直ぐに就職する必要性を感じず、ジャーナリズムの世界で生きていこうとする人。
・公務員試験を受けつつ、難関資格合格を目指す人。
・出版業界を目指しつつ、視野を広めながら事務職等も探している人。
・『現状が楽しい!』と話し、太陽光発電の普及を目指す人。
・就職にこだわらずにWEB関係でアルバイトをしながら仕事を探す人。
・人材紹介会社の契約社員となり就職を目指すも、そのやり方に不満がある人。
・社会変革意欲の強さから、インターン等の活動を通して何かを成そうとしている人。
・専門学校コミック科を卒業し、WEBデザイナー等を志望している人。
・「新卒後、すぐに教員になる」というレールに疑問を持ち、就職を目指す人。
・教育業界を志望しているが、それよりも留学をしたい人。
・半年間引きこもった後に、プログラミングのアルバイトを見つけてきた人。
・就職してしまうとやりたいことができないので、今のうちに旅をしようとしている人。
・大学卒業後、ボランティアとしてNGOに所属し岩手で被災地支援をしてきた人。

 立場や背景は一人一人違うと思いますが、どの人でも共通することを挙げるとすれば、「既卒になって仕事の選択肢が狭まってしまった」、「現状の就職活動制度、働き方に疑問がある」ということでしょうか。

仕事の選択肢がどう狭まったのか

具体的には、
1:「新卒」ではなくなり、新卒求人サイトやハローワーク求人では目に見えて応募枠が少なくなったこと。
2:「既卒」を対象としない求人では中途採用枠での応募になり、就業経験のない既卒者にとっては一般的に不利であること
です。

また、求人の中には受け入れ難い条件のものも多く、給料面では「昇給なし」、「ボーナスなし」。というものも見受けられます。

上の事例で見てみると、学生時代に公務員試験や教員採用試験を受けていた人等にとっては、試験の勉強に時間を取られ、新卒の時にじっくり企業を探す余裕がないままに既卒になってしまい、新卒時と比べて少ない枠の中で就職活動を行っている現状があります。
他には、就職への焦りや生活の環境から望まない就業をしてしまう人も少なからずいます(それが悪いというわけではない。)2012卒の既卒者たちに限って言えば、既に卒業から4ヶ月経ち、≪とりあえず働くか、納得の行くまで就職活動等を続けるか≫などと悩んでいる人が数多くいることだと思います。

個人として、既卒者がどんなことをやっていくのか

では、上記で述べたように仕事の選択肢が狭まっている中で、個人として既卒者が出来ることはなんでしょうか。
私個人としては『仕事に就く選択肢を拡げること』が一つの鍵になってくると思います。
実際にこれまでお会いした既卒者の話を聞いていると、就職にこだわらずにジャーナリズム業界で生きていこうと決めている人、WEB製作のアルバイトをしながら就職を目指している人、難関資格の取得を目指している人、色々な選択肢があることに気付かされる場面が沢山ありました。
中でも面白かった人は、2011年に大学を卒業した後、NGOに所属して被災地でボランティアをしていた方。最初は乗り気ではなかったが、履歴書の空白期間を作ってしまう不安があり1歩を踏み出し、まずは2週間のボランティア。次も2週間、次は1ヶ月、次は...とやっているうちに1年間を過ごしていたらしいです。そこまで前向きな理由もなく(と書くとちょっと失礼ですが)、意識せずにギャップイヤーを過ごしていたことになります。

私自身の例を挙げると、既卒になって現在行なっていることは主に以下の4つです。
・週2回程のインターンシップ(常に私服です。)
・学校見学
・教育系イベントへの参加
・既卒者カフェの開催

私は「学校外教育」、「若者支援」を仕事にしたいと考えているため、教育系のインターンシップに取り組みつつ、オルタナティブスクールの見学、教育フェスタやユースワーカー研究会などのイベントへの参加をしています(と、いっても今年の5月からですが。)この記事を書いている2012年7月24日現在全くの無報酬ではありますが、何か仕事に繋がるものがあるのではないかと考えて活動しています。
選択肢を拡げて見えてきたのは、「就職サイト経由での就職以外にも色々と道があるのだなあ」ということ。ほんの一例ですが、先日お会いした大阪のユースワーカーの方は、若者支援関係の人に会いに行き『仕事下さい!』と言って実際に仕事を頂いた経験があるそうです。また学校見学を通して、意外とアルバイトやボランティアから入って正社員になっている人、なろうと頑張っている人がいることを知りました。この記事も、大阪で既卒者カフェを開催したことがきっかけで書く事になりました。
このように選択肢を拡げてみると、意外と仕事に繋がりそうな種が転がっているかもしれません。
もちろん、現状や将来への不安もあります。不安に押しつぶされてしまい身動きが取れなくなることが、みなさんにもあるのではないでしょうか?

ということで記事を読んでくれたみなさん、一緒に不安や希望を共有しつつ焦らずにやっていきましょう!次回からは一人一人の事例を掘り下げながら、既卒者の現状を伝えて行きたいと思います。


既卒者カフェ
WEB:http://kisotsusyacafe.jimdo.com/
山口宏之